2020.02.22 21:00血柘榴 11頬がパンパンに張るほど口いっぱいに詰め込みまだ微かに暖かい血肉を体に取り込む。噛み切り歯で磨り潰しのみこんで、隠していくジュワリと汁が拡がって甘い菓子を思わせるような甘みが広がった。こんなことをしてるのに俺は今満たされているのだ。あまりにも人離れている思考ではそう考えられるのに手は止まらず身体は黙々と取り込み消化をしている。目からは何故か止まらずボロボロと目から黒い液体が零れ落ちる。はたはたと落ち...
2019.09.10 15:33血柘榴 10ナオンを追いかけて屋敷まで走る。空腹になど構っていられない。そんなことより早くナオンの安否を確認したい。息が切れて苦しくて胸がギュッとなる感覚と口に広がる鉄の味を噛み締めながら屋敷のドアを開いた。中には、沢山、の匂いが広がっている。うちの人の匂いじゃない。誰か知らない人の匂いだ。嫌な予感がする。 「ナオン!」今まで出したことないくらいの声を出してナオンの名前を呼ぶ、喉がヒリヒリする。&n...
2019.08.29 11:30血柘榴 9離れ家にはある程度の缶詰や非常食がいくつかあった、ナオンにそれらを暖炉火で温めて乾パンと共に食べさせる。少なくともリンゴよりはきっと栄養価はあるはずだ。 「おいしーね!お兄ちゃん!」 「良かったね、ナオン」 「うん!」ニコニコとパンを食べるナオンは本当に天使みたいで、遠い昔を思い出す。小さい頃は3人でよく遊んでここに隠れて父と母を困らせていた。今思えばあれ...