血柘榴3

とうとう家にいたお手伝いさんが居なくなった、雇うためのお金が無くなったからだと母様が言う、家族3人だけでも大変なんだそうだ。

「まったく、負担が多すぎるわ、ナオンだけならともかくあんたみたいな足手まといが居るせいでやりくりが大変なのよね…」

「ごめんなさい...母様」

「本当に分かってるの?あっちょっと!嫌だわ、こっち見ないで頂戴!覆面はそのままでいい、気味の悪い”それ”が遷ったら私まで不幸になるじゃないの…!」

「お母さん…またお兄ちゃんを虐めてるの?」

「あら、ナオン」

「ナオン、僕は大丈夫だから・・・」


「大丈夫じゃないよ!それにお兄ちゃんもお兄ちゃんだよ!なんでいつも言いなりなの?目の色もそばかすも遷ったりしない!!不幸になったりするわけもないし、お母さんは迷信に囚われすぎなんだよ・・・!」


ナオンが僕の頬に触れながら言う、暖かい柔らかい。僕にはあまりにも勿体無すぎる優しさだ、ズクズクと頭に目に熱が集まる気がした。嫌な感覚だ気持ち悪い・・・


「ナオン!!おやめなさい!そんなものに触れてはいけません!汚らしい!!」


「汚くない!! 私のお兄ちゃんだもん!!私はお母さんよりもずっとお兄ちゃんといたよ、でも私は、私にはそばかすも紫の目も遷ってない」


「ナオン!」


「ナオン、僕は大丈夫、だか、お願い、手を離して、大丈夫だから…」


「でも!お兄ちゃん…!」


ナオンが次の言葉を発する前に母様がナオンを張り倒した


「いっ……!」


「いい加減にしなさい…方何歳なの?小さい子供じゃないのよ?」

「母様、でもナオンはまだ14さ」


「煩い!化け物のくせに口を開かないで頂戴!気味が悪い……!」


「ぁっ、う、ごめ、ごめんなさい……」


「ナオンは今すぐ自室に戻って反省しなさい、夕飯は抜き」

「…嫌…!」

「まだ刃向かうの?」

バチン、と母様の手がナオンの柔らかな頬を張って、音を立てる。

また、目の奥に熱が溜まる感覚がした、
気持ち悪い、ズクズクなんて優しいもんじゃない、全身を激しく揺さぶられるような感覚。脳みそが焼けそうなぐらいに熱を持ってグツグツと音を立ててる。
気がつけば俺は怒鳴っていた、我慢ができなかった、俺を人として扱ってくれたのはナオンだけなんだ、傷付けられるのが許せない、やめろ、俺の唯一の救いなんだから、
ほかなんてどうでもいい、俺は俺であれるのなら
母様は悲鳴をあげて逃げていく、悪魔だと叫びながら、ナオンは何回も張られた頬が痛むのか涙を浮かべながら、ありがとう、と俺に笑いかける、その瞬間に目に溜まっていた熱が溶けてしまったかのように、何も感じなくなった、でもそんなのどうでもいい、
よかった、ナオンが笑ってくれた、これが一番嬉しい

2人で台所に行くとナオンの赤く熱を持って腫れた頬に氷と水で冷やしたタオルを頬に当てさせる、可哀想にナオンは何一つ悪くないのに、悪いのは全部俺なのに。

「お兄ちゃん、かっこよかったよ」

「…ありがとう、ごめんな、早く助けられなくて」

「いいの、お兄ちゃんは悪くないよ、お母さんが悪いんだもの」

「でも、ナオン…もう俺を庇わないで、お前が傷付けられるのは許せない、自分を大切にして欲しい」

「…えへへ、そういえばお兄ちゃん、僕、じゃなくなったんだね」

「あっ…変かな……?僕の方がいい?」

「ううん!そんなことない!かっこいいよ!」

「そっか」

冷やしながら2人で話をする、それにこっそりお菓子をくすねて、俺の部屋で食べたすごく平和だった、味は、よく分からなかったけれど
少しだけ、強くなったような気がした

KOO

Twitterに上げた絵や、ネタ等。 創作小説や二次小説 日常を上げます。 たまにR18ネタものを書く。 コメント等が貰えると泣いて喜ぶ。 不定期更新

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